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2011年 05月 06日
ボルボ V70XC ATの修理-4
今度はクラッチと遊星ギアASSYを組み立てていきます。

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オイルポンプ裏のクラッチASSYです、外した順ときっちり逆に組み立てます。
クラッチプレートやリターンスプリングには組み付ける面の表裏もあるので、外したときに
わからなくならないようにすることが大事です。

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プレートのフェーシングに剥がれができています、あまり気持ちが良いものではないのですが
このプレートのみで剥がれも全体の1割ほどなので組みつけてしまいます。
そもそもプレート単体で部品は出てきませんし、フェーシングを張ってくれるクラッチ屋も知らないので諦めるとします。

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次にインプットシャフトが付いているギアASSYを組み立てます。

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組み立て中に外側ボスのプレート接触面がささくれていることに気づきました。
写真は解像度が良くないのでわかりにくいのですが、ボス表面がプレートに削られています。
クラッチはつながる際に回転軸方向にスライドしつつボスを円周方向に押すという動作を取ります。
要はボスの壁面をマイナスドライバーで写真の上下方向にグリグリ傷つけるようなことを
変速する毎に受けているわけです。

ここのささくれは特にひどく、プレートが軸方向に動くのを止めてしまうような形状になっていました。
これが変速ショックの原因だろうか、これではクラッチをつなげたくてもプレートが傷に引っかかり
規定のタイミングでつなぐことができていないのではないだろうか。

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あまり良い方法ではありませんがこのまま使うわけにも行かないので、リューターで傷をならします。

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完全に凹凸は消えませんが、引っかからないようにバリを取りました。
ここのボスは板金を絞り加工して製作している物で、歯車を作る際に使う炭素鋼より硬さが低めです。
炭素鋼で作られた他のボスはクラッチプレートの跡が付くぐらいの傷で済んでいるのですが、
ここのボスはえぐられていました。
別の場所でケース側にボス構造が作ってあるところがあるのですが、そこもプレートのあたり面が
ひどく削れていて、変速に難を来たしそうな様子でした。
アルミや板金の表面硬さではクラッチプレートの加重に耐えられないようです、ボスの素材はSxxCとかの
炭素鋼を使わないと20万kmは厳しいのではないでしょうか。

ちなみにKTMの525EXCのクラッチボスはアルミの筐体ですが、プレートの接触する箇所は
鉄でできた円筒状の別パーツでできていました、この構造ならプレートは硬い鉄で受け止めるので
ボスは傷つかず、いつまでもスムーズなクラッチ操作を維持できます、しかも別部品なので傷がついたら
交換することもできます、非常に良く考えられています。

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組み立てた部品達です、ちなみにアルミのボスは写真左下のケースにクラッチが入っている箇所です。
ここも傷がひどいのでならして組みなおす予定です。

by g2jing37 | 2011-05-06 03:08 | ボルボV70XC | Comments(0)


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